リストカット依存症
麻美にハブられてから、十日ほど経った日
麻美からメールが来た。
【ごめんね。アタシ、圭香にヒドイことした。
でも、許して。アタシ、圭香がいないとダメなんだよ】
今思うと、すごく自分勝手だと思う。
でも、このときのわたしは、そう言ってくれることが嬉しかった。
頼られることが、幸せだった。
翌日、何事もなかったように、麻美が駆け寄ってきた。
「おはよー。圭香」
「うん。おはよ」
麻美はわたしの手首を見ながらつぶやいた。
「田原さんが言ってたこと、ほんとだったの?」
「…え…?」
「リスカ…」
田原さんってのは、わたしに手首を隠したほうがいいと言った子だ。
「…ん…まぁ」
「うちのせい?」
「……違う…」
「気遣わなくていいよ」
「違うよ…。…気にしないで」
麻美はわたしをトイレに連れていき、袖を捲った。
そこには、わたしと同じような傷が無数にあった。
「わたしもだよ…。…衝動的にやっちゃうの」