人でも、鬼でも、「君を愛す」
春明と天鬼には、蔵の外で待っていてもらい、急いで真新しい制服に袖を通した。

洗面所で顔を洗い、長い黒髪を梳かし、姿見の前で自分の制服姿を確認する。

今日から通う私立欅創(きょそう)高校の制服は、紺色のリボンを通したブラウスに白いブレザーを羽織り、白いラインが一周ぐるりと入った紺色のプリーツスカートと紺色の靴下を履くまでが学校指定で、靴は自由だ。

「よっし……」

鏡に映る自分は、ちゃんと高校生らしく見えた。

学校指定のスクールバッグの中身を確認し、用意してあった新品の黒いローファーを履く。

ガラッと音を立てて、蔵の扉を開けた。

「お待たせっ」

「……おー」

私の姿を見た春明が棒読みの声を発した。

もっと、「おぉ!」って感じの感嘆を期待してたのに。

「やっぱり変かな……?」

「マセた小学生みたい」

「小……!?今日から高校生なんだけど!」

「冗談だって。からかっただけ……でも背は低いよ」

「これから成長期なの!!」

「へー」

見下した視線の春明にそっぽを向くと、私たちと三メートルほど離れたところに天鬼がいた。

「そんなに離れなくても」

ちょっと傷ついた。
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