人でも、鬼でも、「君を愛す」
私の力をどうやってか抑えられないだろうか。

「春明、私の力を抑える符とか作れない??」

「作れるよ」

「作れるの!?」

ダメ元で言ってみたのに!!

「高くつくけど」

「……お金とるの!?」

「うん。幼馴染割引でいいよ……なんて、嘘だよ。もう作ったから、紗子が着替えてる間に」

スクールバッグの中のクリアファイルから、春明は一枚の符を取り出した。

見た目は護符と変わらないけど、ちゃんと私の力を抑える作用があるのかな?

半信半疑で符を受け取り、天鬼のほうを向く。

天鬼が一瞬怯えたような顔をして……また少し傷ついた。

一歩一歩近づいていく。

残り二メートル、一メートル……

心臓がドキドキと早鐘を打つ。

「えいっ……」

私は潔く一気に近づいた。

とんっと天鬼の胸板辺りに頭が触れた。

触れ、た…………。

バッと顔を上げる。

「……っ」

頬を少し赤らめた天鬼と目が合った。

「やったよ、天鬼!これで近くに居ても大丈……」

「離れろ、ばか!」

ぐいっと両肩を押され、距離ができる。

「ええぇ……何でぇ」

「何でって……近すぎなんだよ!」
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