人でも、鬼でも、「君を愛す」
先程まで教室に居たのは夢だったのか。

「春明おはよう……じゃなくて今の物音なに!?」

思い出して蔵の奥を見ると、本やぬいぐるみを置いてある棚が無惨にも折れ、崩れていた。

「な、何が起こったの……」

「あぁ、あれねー」

どこか楽しそうな様子の春明が説明しようとしたとき、崩れた棚の間から、手が出てきた。

「!?」

手は、棚の残骸や本をどかし、やがて……

「うぅ……何しやがる……」

といううめき声と共に、私や春明と同じ高校の制服を着た男子が這い出てきた。

「誰!?」

「彼ね、紗子が起きた途端、あっちまでぶっ飛ばされたんだ」

「はい!?」

私が起きた途端にぶっ飛ばされた?

確か私は勢いよく体を起こして……もし距離が近くなったことでぶっ飛ばしたとしたら……

「幽魔……!?」

私の持つ退魔の力に反発するのはそれくらいだ。

幽魔だったらある程度の距離で触れずとも力に反発してぶっ飛んでいく。

でも、這い出てきた男子には幽魔特有の青白い光がない。

「ど、どういうこと??」

「ったく、痛ぇじゃねぇかっ」

男子は立ち上がり、制服を叩きながら私を睨んだ。
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