人でも、鬼でも、「君を愛す」
「……え」

その顔は、夢で見た綺麗な赤髪の男子にそっくりだった。

ただ、髪は赤ではなく黒だけど……。

「ごめんね、天鬼。まさか、紗子の力に反応するとは思わなくてさー」

笑いながら、春明は「てんき」と呼んだ男子に近づいていく。

春明でさえ私より背が高いのに、「てんき」はもっと高かった。

「紗子、紹介するね。鬼の、天鬼だよ。天に鬼で天鬼」

「天鬼……へぇ…………って鬼!?」

「うん、鬼」

春明は相変わらず笑顔で答えた。

春明が幼馴染であり私のライバルなのは、春明も幽魔を退治する力を持った家系に生まれたからだ。

だけど、春明は力を受け継いでいない。

それでも修行を重ね、護符や九字で幽魔退治をしている努力家。

そんな春明は、幽魔を強制的に退治するだけではなく、諭したり説得したりして魔の力を除くことができる。

そうして友だちになった幽霊も少なくない。

「……まさか、鬼と友だちになったの?」

「友だちだと!?俺はコイツに弱みを握られて使役され……」

反論する天鬼の腹を、春明の肘がどついた。

「ぐっ……」

「天鬼、そういう言い方は良くないよね?」
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