恋のクスリ。
「わりい」
一番奥の部屋に着いた瞬間隼斗がいきなり手を離した。
きょとんとした顔で私は隼斗を見つめる。
「ほら、手」
そう言って隼斗の視線の先にある私の腕に目を向けた。
じわっと赤く染待っている腕
「ああ、平気だよ。大丈夫」
「つい、ほら。お前また迷子になるからさ」
———迷子。
「うんっそうだよね。ごめんねあのときは」
—————ごめんね。
逃げて—————。
コンコン
静まり返った部屋に、響くドアのノック音。
「千速です」
「入れ」
「失礼します」
【 五十嵐 千速 】
「お誕生日おめでとうございます。梨紗さん」
「っ、、あっありがとう」
じっと私の目を見つめ軽く頭を下げる千速。
「隼斗さん、そろそろ予定時刻ですがOPENさせますか?」
「おう、そうだな。」
「じゃあ、最初の挨拶お願いいたします」
「わかった。梨紗も頼むな」
「え、わ、私も?」
「当たり前だろ、梨紗の誕生日パーティーなんだから」
「そ、そうだけど、、、」
「テキトーでいいんだよ、じゃ俺ちょっと表見てくるから」
そう言って部屋から出ていく隼斗。
「、、大丈夫ですか?」
「んーっ、私苦手だからなあ。挨拶とか。まあやるしかないよね」
じっと見つめてくる千速の顔を私はいつも真正面から受けることができない。
「あ、それよりあのさ、、、さっき制服の子達が居たんだけどあの制服って」
「桜鈴の学生だと思われます」
「桜鈴かー、エリート高校生もこんなとこに来るんだね」
私はもうすっかり
あの子が脳裏にこびりついていた。