恋のクスリ。
キーンコーンカーン
1日の最後を告げるチャイムが鳴り響く。
「れ〜んっくん」
ひょいっとクラスの窓から可愛い顔を覗かせる音。
「おう、行くか」
「うう〜」
下唇を出していかにも行きたくなさそうにする音を横目で俺は見ながら歩いて行った。
「音ってさドラッグやってる人とかの知り合いいんの?」
「ええ、まあ、知ってる人ならいるけど…そんな話したことないしなあ。
でも一応その人が仕切ってるところに行くね」
「サンキュ、どんな奴なの?」
「ん〜。怖い人だと思うよ。
でもいい人っていう人もいる。」
「その人もやってんの?クスリ」
「そりゃ、やってるよ。売ってるんだからね」
人生に疲れてそれを忘れたくて
今の自分に嫌気がさして
なんにも考えたくなくて
手を出すのか?
辛いからって
逃げる奴らの塊なんだ
弱いものどうし慰めあって
傷を舐めあって
生きていってる奴らの集まり
俺はそっと音からもらった飴を口に運んだ
「あめえよ」
そう囁いた。