今日も明日もそばにいて
③よく解らなくても
……うん、思った以上に片付いたかも。
休みの日に、居たらしてるなんて、何も用が無いとは言えず言ったばっかりに、ホントに掃除しちゃったじゃないの。お陰で年末の掃除が有耶無耶にならずに済みそう。要らない物を片付けるのって中々出来ないのよね。
ん…3時前か。丁度おやつタイム。昨日出掛けていたから…買い溜めもしていないし。コンビニに行こうかな。
財布を手にした。
東京タワーのストラップ。こっちに付け直した。
ファスナーの金具に通して中に終えば、普段は解らない。
あのバッグはいつも使ってる訳じゃないから。…何となく、財布に。携帯とかだと、明白過ぎる。人に何か聞かれて、うっかり口を滑らせたら…逃げ場が無い。…だったらどこにも付けなきゃいいんだけど…。
コンビニのドアを開けた。軽快なメロディの入店音。
「いらっしゃいませ~」
言いたくはないけど、言わなくちゃ的な挨拶に、こんにちはと返した。
足は自然と決まった方へ向かった。ん~、小さい箱のお菓子も、コンビニにしかない限定モノがある…。
…季節限定、…地域限定、この言葉に、つい手を伸ばしてしまう。
それから、こっち。あ、新しい限定スイーツが出てる。和にしようかな、洋にしようかな。迷った時は両方共。これは私のスイーツに対する流儀。あんみつパフェとベリーソースのかかったチーズケーキ。美味しそう。これにしよう!
珈琲と並べて、食べる直前が…はぁ、至福の時なのよね…。
会計を済ませ、もたもたとお釣りを終っている間に掴み易いように捩られた袋の持ち手を掴み、お礼を言って店を出た。
……ん、……え?
「神坂君?」
部屋の前に人が立っていた。
「あ、実季先輩。はぁ、良かった…。出掛けてたんですね、お帰りなさい。留守だからどうしようかと思ってました」
目の前の男。神坂君だ、…間違いない。
「あ、え、えーっと、ああ、ごめんね。ちょっとコンビニに行ってたの」
袋を持ち上げ、後ろを指して答えた。
「そうでしたか。携帯も出ないから、留守というより、悪いこと色々考えてしまいました」
こんな時…どうしたらいいんだろう。取り敢えず…。
「中、入る?」
…。
え?何、この間、…言っちゃ駄目だったの?…え?駄目?何?無事を確認されて、じゃあって、そんな訳には、ね、でしょ?
「…お邪魔していいなら」
「うん。今、丁度珈琲飲もうと思って、それで、これ買いに行ってたの」
カチャカチャ。ドアを開けた。
「さあ、入って。どうぞ?」
…。
「では、お邪魔します」