今日も明日もそばにいて
⑥やっぱり…気になる
「実季さん…俺じゃなきゃ駄目な人になってくださいね」
え?あれだけ関係を持った事は早過ぎたのかとか、話していたのに…。
結局、また、こうしてご飯の後で仲良くしてる。
で、今のは何?
「え?…下ネタ?」
「え?いや、違いますよ。他の人は好きにならないで欲しいって意味です」
「やだ…」
そんな…恥ずかしい勘違い。こんな甘いコト、散々した後に言ったから、普通、そっちかと思うじゃない?
「ま、そういうコトも含んだ意味もありますけどね?」
「も゙う。やっぱりそうじゃない〜、もう…」
「ハハ。俺ね…実季さんの、好きですよ?」
「え゙?」
…いやだ、…そんな事。恥ずかしい…。
「フ…。実季さんの、作るご飯、好きです」
も゙ー、また…そっちかい。何だか、さっきからまんまとからかわれている気がする。…まあ嬉しいのは嬉しいけど?
「あ、それはどうも、有難う」
「うん、味に違和感が無いんですよ。あ、これはちょっと違う、って感じがほぼ無いかな。
お弁当に王道の物を入れて欲しいと頼んだのは、よく作る基本の物を食べれば、味付けの濃さとか、解るかなと思ったからなんです。その日だけの凝った物を作られては、普段が解らないですから。で、弁当は旨かった。こんな事考えてたからって、変に機嫌を損ねないでくださいね」
「大丈夫よ。でも何だかんだ、短い間でも、確認作業はちゃんとしてたのね?」
「はい。これでも俺は、強い意志を持って誘ってましたから。会う事、無駄になんかしませんよ?次の約束を蹴られる場合もあるんですから。毎回、勝負です」
なるほどね…。一々頷ける。ご飯の味は試された訳ね。大袈裟に言ったら、合格だったって訳か…口に合ってたらしいから。
「じゃあ、東京タワーの時も何かあったの?」
「いいえ?」
へ?そこは無いの?
結果として解った事はありましたよ?
時間はきちんと守る。お願いした事は、理由は解らなくてもその通りにしてくれる。
人に合わせられる。気配りが出来る。自己犠牲なところがある。…足、ちょっと、痛かったかも知れない。
疑問に思った事は聞く。飾らない正直な人、かな。
「まあ、いいじゃないですか。食の好みが合うかどうかは大事な事です」
「うん、それは思う」