俺の手が届く範囲にいろ。



「…っす、睡眠不足かも…!
昨日わたし、夜ふかししちゃって。
まさか目が腫れちゃうなんてなー…あはは」


心配性な京ちゃんに、
泣いたことをバレたくない一心で
わたしはそんな嘘を咄嗟についた。


すると、不意に京ちゃんは
ムッ…と眉間にシワを寄せて…
「……下手くそ。」と呟いた。


「……へ?」


「……ごまかすなら、
もっとうまくごまかせよ。」


「っ……」


「…何年おまえと一緒にいると思ってんの?」


そう言って、ふっと笑った京ちゃんが
わたしの頭に手をおいた。


「嘘つきにはこうだな」


そんな言葉と同時に、わたしは京ちゃんに
髪をくしゃくしゃにされる。


「ご、ごめんっ…ボサボサになるっ…」


「ふっ…もうなってるから」


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