俺の手が届く範囲にいろ。


……っ…やっぱ京ちゃんには敵わないや
って、そう思った。


「……あのね、京ちゃん」


「…ん。」


「わたし…失恋しちゃったんだ…」


京ちゃんには、嘘を付いても
結局バレちゃうから…


だからわたしは、全部話した。


航くんに彼女さんがいたことも…全部。


言葉に詰まって、うつむいたわたしに
京ちゃんは……


「なぁ、実月。水族館行かね?」


……ん?


「……え?」


「水族館行こうぜ」


「…まって京ちゃん、どうゆう流れ…?」


…予想外の、唐突すぎる言葉に
零れそうだった涙も
思わず引っ込んでしまった。
 

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