俺の手が届く範囲にいろ。


「…まぁー、しょうがないか。」


不意に菜々ちゃんはそう呟いて
わたしを揺さぶる手を離した。


「…だって、みっちゃんには
既に好きな人がいるもんねー…」


「……っ…」


「……あ、噂をすれば…。」


と、菜々ちゃんがそんなことを言った直後


「実月ちゃん…!」


__教室のドア方面から
聞き覚えのある声が聞こえてきた。

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