俺の手が届く範囲にいろ。
「…本当に大丈夫?」
「…ん、大したことねーよ」
そんな会話をしながら
体育館の出口に近づくと……
不意に、航くんの姿が目に入った。
「…あ。」
そ、そうえばさっき
大事な話の途中だったような……。
「ご、ごめん航くん…!
話の続きは、またあとで……」
「もう十分伝わったよ、
ありがとう実月ちゃん」
そう言って、航くんが優しく微笑んだ…直後。
__ぐいっ…
わたしは、なぜか京ちゃんに
腕を引っ張られていた。
「……京ちゃん?」
さっきまで、わたしが京ちゃんの腕を
引っ張っていたのに……
いつの間にか、立場は逆になっていて…
「あっ…じゃあ、またね航くん」
「うん…!」
__……まるで、
わたしと航くんを引き離すように。