鬼と仮面
「じゃあ誰と付き合ってるんですか?」
「誰とも付き合ってません。都合が良いのでそういう噂は知らないふりを通してました」
私はキーウィの身体を掴んだ。鳴き声のようなものを上げたので驚く。
これ鳴くんだ、可愛い。
「俺の話聞いてました?」
「はい、矢敷さんに恋人がいないのを聞きました」
「いや、同期ですから敬語やめましょうって方です」
あ、そっちね。という顔をしてみたけれど、全然聞いてなかった。
……矢敷さん、私が同期だって知ってたのか。
そこにも感動するけれど、それより矢敷さんが越川さんと付き合ってないという方に驚きが隠せない。