鬼と仮面
本当は心のどこかで近づきたいと思っていた。特別に見てほしいって。
越川さんと付き合っていようと関係ないって。
そんな風に乱暴に考える自分がいた。
その結果がこれだ。神様って本当にいるんだな。
「謝らなくて良いから」
言い聞かせるようにゆっくりと発せられた。
時計を見ると五時少し前になっていた。
「始発もうそろそろですね。行きましょう」
鞄と伝票を持った。
あ、キーウィ。
テーブルの上を見ると矢敷さんがキーウィを持っていた。
「伝票とキーウィ、交換」
「え、でも」
「キーウィ可愛いでしょ」