鬼と仮面
ぎくり、と顔色が変わった。初めて見る顔だ。
「もしかして気遣ってた?」
「確かに帰ろうと思えば帰れた状況にはあるけど」
「私は一人でも大丈夫なので」
申し訳ないな、と思いながら、駅の方へ歩く。
私の鞄の中にはキーウィがいる。
それでも嬉しかった。
「灰澤さん、キーウィ好きですか?」
された質問に頷いて「好きです」と答える。
「俺もです」
「ちょっとマイナーですね」
「灰澤さんはキーウィに似てるって言いましたよね」
何が言いたいのだろう。
矢敷さんを見上げた。