鬼と仮面
すぐに過ぎると思ったのは正解だった。
ただ、人気者のなんとか君が私に何か言ってくることは無かった。
秋の終わりには私に飽きて、殆どいじめはなくなっていた。一緒に友達もいなくなった。
『実はさ、罰ゲームだったんだよ』
放課後の教室で、彼が言っているのを聞いた。そういうのが流行ってる、と。
誰かが笑うのを聞いた。
三学期に入ってから、数えるほどしか学校に行っていない。
「そ……なんですか」
「いきなり付き合ってとか言わないので、友達として仲良くしてください」
もしかしたら、あそこで笑ってたの、矢敷さんかもしれないな。