鬼と仮面
本当は怖かった。
灰澤さんはその仮面をつけて、このままどこかへ行ってしまう気がした。
「いい」
小さく首を振った。
「私は一人でも大丈夫なので」
灰澤さんはどこかに行ってしまうことはなかった。
ただ、二年のクラス替えの紙に名前が載っていなかった。
一年のときの担任に聞くと、転校したらしい。
誰にも告げず消えてしまった。
「待ちました?」
流石に入口だと目立つので駅にしてくださいとメッセージが飛んできたので、素直に従った。
着いて少しもしない内に灰澤さんが来る。