鬼と仮面

本当は怖かった。
灰澤さんはその仮面をつけて、このままどこかへ行ってしまう気がした。

「いい」

小さく首を振った。

「私は一人でも大丈夫なので」

灰澤さんはどこかに行ってしまうことはなかった。

ただ、二年のクラス替えの紙に名前が載っていなかった。
一年のときの担任に聞くと、転校したらしい。

誰にも告げず消えてしまった。

「待ちました?」

流石に入口だと目立つので駅にしてくださいとメッセージが飛んできたので、素直に従った。
着いて少しもしない内に灰澤さんが来る。


< 34 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop