鬼と仮面
人通りの多い改札を抜けて、ホームにおりた。
「そういえば、どっちにするか決めた?」
「え、何を?」
「渡すのか捨てるのか燃やすのか」
「……いちおう、どっちも大事に持っておこうと思います」
どっちも、らしい。
「まあ長期戦になるのは分かっていたので、それを手放すときは教えてください」
「はい」
灰澤さんの電車の方が先に来る。電光掲示板の隣のランプが光った。
それに気付いてランプを見ている。
「灰澤さん」
なにか、と言った顔で視線を向けた。
「俺が守りますよ」