鬼と仮面
ロコモコ丼を作る、と言ってスーパーの買い物袋を持って家に来た矢敷は早速キッチンを占拠した。
「大丈夫ですか?」
「根性でひっくり返すから大丈夫だよ」
フライパンで煮込みハンバーグを作っている矢敷の隣で灰澤はミルクパンを出す。
「オニオンスープでも作ります」
「たまねぎ好きです」
「コンソメ取ってもらえます? そこの箱に」
指をさした箱から顆粒コンソメを取る。それをこちらに渡して、二人の目が合った。
あ、本当にこのひと顔綺麗。
その近さに目を逸らして、「どうも」と返す。
「あーあ今日泊まってこうかな」
「え、着替えないですよ?」