鬼と仮面
中学の集まり。それを聞いて、思うのは一人のこと。
まだ終わる時間じゃないと思うけど。
腕時計をちらと見る。待ち合わせしているのはいつも駅。ここでこのまま話していたら、いつか出てくるだろう。
「約束?」
「ああ、ちょっと」
『正面ロビーの中で待っていてください』とメッセージを打った。中で待っていたら流石にこちらにも鹿沼も気付かないだろう。
「じゃあさっさと決めようぜ。学年の同窓会って感じらしくてさ、来る人数少ないらしいんだよ」
「それ、やらない方が良いんじゃないか?」
「矢敷が来るって聞いたら出席する女の数が跳ね上がると思う。俺が保障する」
そんな保障はいらない。