鬼と仮面
どこにいても、合コンだ同窓会だ、女を引っ張る為の道具にしかならない。
そうだ。成人式も結局、女子がきゃーきゃー騒いでたから二次会に行くのを辞めたんだった。
中学のときは身長も頭も普通で、身長が伸びてネームバリューのある大学に入った途端これだ。と、あの時も卑屈になった。
「悪いけど、行かな……」
自動扉が開く音がする。鹿沼の視線がすぐ傍で止まっていた。
最悪の事態を予測した。
振り向く。
目をぱちくりさせて携帯を握りしめてこちらを見る灰澤さんの姿。
「え」
「あ」
「もしかして灰澤?」
先に俺、灰澤さん、鹿沼の順である。