鬼と仮面
「思い出せない部分が大きくて。鹿沼くんは小学校も一緒だったから覚えてました。矢敷さんは鹿沼くんと仲良いんですね?」
「矢敷くん」
「え?」
「矢敷くんって言ってみて」
ミニサラダのトマトを突き刺したフォークを持ちながら灰澤さんは静止した。お、迷ってる。
「……矢敷くん」
「絢人くん」
「あや……矢敷さん、楽しがってません?」
「ばれましたか」
唇を尖らせながらトマトを頬張る。俺も巻いたパスタを口に運んだ。
「鹿沼くんとの再会は兎も角、同窓会に行くことになってしまったのは申し訳ないです。矢敷さん、断ってましたよね」