鬼と仮面
その続きを、灰澤さんは結局言わなかった。
そうして、同窓会当日を迎えることとなる。
そして、こういう日に限って。
「先輩、本当にすみません……!」
いつもはできる後輩がミスをする。「失敗は誰にでもあるから」と当たり障りのない言葉を返して、灰澤さんにメッセージを打つ。
『少し遅れます。暖かいところで待っていてください』
会場まで一緒に行く約束をしていた。キーウィの灰澤さんが一人でジャングルに入って虎や熊に襲われたらと思うと気が気でない。
後輩のミスを集中して直していると、メッセージを受信した携帯が震えた。