鬼と仮面
鹿沼くんに会えて、少し浮かれていたのかもしれない。誰か、見知った久しぶりの顔に会えるかも、なんて。
そんなのは、甘い夢だった。
古倉と呼ばれた隣の男性は、矢敷さんと知り合いだったのか、「よお」と気安く挨拶をする。
詰めてと言われた通り、古倉さんは私の方に詰める。
「そっちじゃない」
矢敷さんは結構イラついているみたいだけれど、古倉さんは酔っていて上機嫌だった。
「矢敷じゃん、また女侍らせんの?」
「しない」
「なんだよ、つれねー」
矢敷さんは古倉さんと私の間に入って、腰を下ろした。掘りごたつに足を投げる。
「矢敷、生?」