鬼と仮面
そう問われたのは初めてで、少しの感動と、大きな焦り。
どうやって返せば良いのか考える前に、隣のパンダさんが「うん」とあっさり答えた。
「まじか。あーそっか、ごめん、灰澤」
「え、どうして?」
「いや、デリカシーない質問したわ」
ごめん、と言って鹿沼くんは他のテーブルに戻っていく。デリカシー……あ、さっきの。
別に気にしてないよ、と言えるほど私は順応した人間ではなかった。
「どんな質問?」
「……えーっと」
矢敷さんからの視線が痛い。ちなみにさっきから、あっちのテーブルの女性たちからの視線も痛いのだけれど。
「えへへ」
笑って誤魔化してみた。