作られた悪魔の子
ミアの過去
「ミアは地上で人として生まれた・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「生まれた!?」

「そうよ!早くいらっしゃい。リーネと
赤ん坊がお待ちかねよ!」

「すぐに行きます!!」

仕事を放り出し病院へと走る男。

名は雪音。

「・・・リーネ!!」

「雪音さん・・・」

「子供は・・・」

「ここに・・・」

「可愛い・・・頑張ったなぁリーネ!」

「ふふふ。号泣なんてあなたらしいわ」

「名前はきめてあるのか?」

「えぇ。美月。美しい月と書くの」

「美月か・・・可愛い名前だ。由来は?」

「外を見て雪音さん。今日はとても月が
キレイよ。こんな日に生まれたこの子は幸せだわ」

「あぁ。そうだな。美月・・・」

泣き出す雪音。

「退院が待ちどうしいな!」

「ふふ。そうね!」

その日はとても幸せだったらしい。

ミアが・・・いや美月が生まれ新しい家族が

加わったことを一族皆が喜んだ。

だがその幸せは長くは続かなかった・・・

退院したリーネは家事をしながら美月の世話。

またリーネの一族は代々伝わる術者。

その仕事も熟していた。

もちろん雪音もともにだ。

だがある日美月が何者かに攫われた。

すぐに場所を突き止め美月を救った。

「良かった・・・美月・・・」

「・・・!おいリーネ・・・」

「どうしたの?」

「美月の首を見てみろ・・・」

「これって吸血の後・・・?」

「惜しいな。それは吸血じゃない」

「!!誰!?」

「私か?私の名はカイラ。悪魔だ。
ついでにいうとその赤子に俺の血を与えた」

「!!」

「それが何を意味するかお前らには分かるだろ?」

「・・・よくも!」

「ククク・・・。そう焦るな。
時が来たら迎えに来てやるよ。その時に
相手してやる。じゃあな」

「待て!!」

そう言い残しカイラは去って行ったそうだ。

カイラは知っての通り俺達の父。

雲の王国先王陛下だ。

・・・一族に戻ったリーネと雪音は起きたこと

全てを話した。

「・・・その子に悪魔の血が入ったという事は
いずれ悪魔の力に目覚めるだろう」

「そうなる前に殺しては・・・」

「馬鹿を言え。悪魔の血が入ったとはいえ
まだ生まれたばかりの赤子だぞ?」

「しかし・・・悪魔は敵だ。敵を身内に入れる
理由には行くまい・・・」

「・・・なら・・・」

「リーネ?」

「この子が悪魔の力に目覚めなければいいのでしょう?」

「そうだが・・・そんなこと・・・」

「できます!私と雪音さんで何とかします!!」

「しかしリーネ・・・万が一目覚めた時には・・・」

「その時は悪魔の力を制御させます!だから!
この子を私から奪わないで・・・」

静まり返る一族たち。

「・・・わかった。リーネ・・・頭を上げよ」

「じゃあ・・・!」

「あぁ。美月の事はお前たちに任せる。
お前たちが親だからな・・・」

「ありがとうございます!」

「ありがとう父さん!!」

美月の命は助かった。

それから美月は力に目覚めることなく

成長していったそうだ。

だが美月が五つになった時事は起きた。

カイラが・・・父が美月の前に現れた。

「あなた!五年前の!」

「ククク・・・久しぶりだな・・・
大きくなったものだなあの赤子が・・・」

「何をしに来たの!」

「もちろんその娘を奪いに・・・」

「させるものですか!」

「ククク・・・私に適うとでも・・・?」

「当然です!!」

「かあさま・・・リーネ・・・」

「大丈夫。美月あなたは下がっていなさい」

「うん・・・」

後ろの木に隠れた美月。

全力で戦うリーネ。

だが力に圧倒的にカイラが強かった。

「う・・・あ・・・!!」

「どうした?そんなものか?」

「リーネ!!」

「・・・娘・・・私は命を奪いに来たのではない。
お前さえ私とともに来れば母の命は助けてやるぞ」

「!!」

「・・・何をふざけたことを!そんなことさせない!!」

「そのような身体で私に勝てるのか?」

「・・・っ」

「トドメをさしてやろう・・・」

「ま・・・待って!」

「美月・・・」

「わ、私が行けばかあさまは殺さない?」

「あぁ。私ら約束を違えない」

「美月!だめよ!」

「ごめんねかあさま・・・私はかあさまを守りたいよ・・・」

「さぁ来なさい」

差し出された手を取る美月。

「美月・・・!!」

「・・・バイバイ・・・」

そのまま美月たちは姿を消したという。

雪音たちが駆けつけた時には美月の姿はなく

倒れたリーネの姿だけあったそうだ。
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