作られた悪魔の子
夜。

部屋に戻ろうとした雪たち。

バタバタ。

慌ただしい足音が聞こえる。

ミアの部屋の方からだ。

「何かあったのか?」

「さぁ?わかんない。雪姫ちゃんきいてる?」

「いえ・・・」

「行ってみようぜ」

ミアの部屋に入った。

「薬草はまだですか!?」

「それがまだ・・・」

「急ぎなさい!鈴たちも連れてきて!!」

「ですが・・・」

「姫を見殺しにするのですか!?」

「・・・っ!行ってきます!!」

「マリア」

「・・・雪姫様」

「何かあったのですか」

「姫様・・・」

雪は横になっているミアをみて驚いた。

「ねえさま?」

「・・・・・・」

「ねぇさま!これはどういうことですか!」

「昼間、敵から襲撃を受けたらしく。その時に
毒を盛られているようでして・・・」

「そんな・・・ねぇさま」

「どいて」

「春斗さま?」

「ボクが、見る」

「え?」

「心配ねーよ。ハルは医者だ」

「春斗様が・・・」

「・・・・・・この毒厄介だね」

「厄介?」

「どういうことでしょう?」

「この毒は盛られても死ぬ事はないんだ」

「死ぬ事はない?」

「そう。盛られれば苦しむことになるけど
命を落とすほど猛毒じゃない。
ただ苦しむだけだ」

「そんな・・・」

「解毒方法はないのですか?」

「ない。毒が癒えるのを待つしかない」

ミアはとても苦しそうだ。

「ねぇさま・・・」

ミアが目を覚ました。

「・・・ゆき?」

「ねぇさま!」

「姫様!!」

「マリア・・・どうして」

「姫様、お倒れになられたんです。
敵から毒を受けて・・・」

「そうだったね・・・」

起き上がろうとするミア。

「まだ起きてはダメですねぇさま!」

「行かないと行けないところがある」

「行かないといけないってどこにですか」

「あの丘。愛花たちが危ない」

「今、危ないのはねぇ様です!」

「雪。私は愛花たちの主。主は配下のものを
時には守らなければならない。だから
私は行く。止めるな雪」

「そんなの・・・そんなの主じゃない!」

「雪?」

「配下ののものなら自分たちの命ぐらい
自分で守れる!出来ないなら主のために死ぬ。
それが主と従者の関係でしょう!?」

「・・・お前が考えている主従関係がそれか。
だけど私はちがう。私は従者をまもる。
それが私のやり方。それが私たちの主従関係」

「無駄ですよ雪姫様」

「え・・・?」

「姫様に何を言っても無駄です」

「・・・考えを変える気は・・・」

「ないな」

「ふふふ。ねぇさまらしい」

「だろう」

ミアは笑って部屋を出た。
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