冬のようなあなた
1
放課後の駐輪場。
人影は無く、静かで陽は傾いていた。
「ごめんなさい。やっぱり好きになれなかったよ。」
「なんで?更紗、まだ二週間だよ?もう少し…」
「あなたの束縛に耐えられないの。ごめんなさい。」
うっすら涙を浮かべて呼び止める彼に背を向けて校舎の方へと歩き出した。
『恋愛の良さがわからない。
本気の好きがわからない。』
こんな私を好きになってしまった男の人はいつもこういう目に遭う。
高校生になって6度目の恋人との別れ。
全然悲しくも何ともない。
だって、私に向こうへの気持ちがないから。
そうして入学して二度目の秋を迎えた。
学校ではもう直ぐ文化祭がやってくる。