冬のようなあなた


校舎に近づくにつれて、準備で盛り上がる生徒の声が大きくなる。

文化祭前なのに悪いことしちゃったな、なんて彼に思ったけれど、私の気持ちだって汲み取ってほしい。
彼はかなり束縛が強くて、男子と話しただけで怒ってきたりしていた。そんな人だった。
自由奔放に生きたい私には無理。

いつの間にか自分の教室の前。
楽しそうに話す女の子たちの声がする。

「え、島くんと付き合うことになったの⁈」

「うん、まじ嬉しい!」


……お付き合い話か。
どうしよう、入りづらい。
なんて、ドアの前で悩んでいると、


「何してるのさらさん」


廊下の向こう側から男の子の声。




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