冬のようなあなた
振り返ると、隣のクラスの古谷 真央都(ふるや まおと)くんが不思議そうにこっちを見ていた。
「あ、えっと…ちょっとね」
「ん?あぁ…そゆこと」
教室からの声で気づいたらしい。
廊下まで聞こえる声だからね。
「困るね。さらさん暇?」
「うん、何もないから荷物とって帰ろうかなって思ってたとこ」
"さらさん"というのは私、滋賀 更紗(しが さらさ)の"さらさ"の最後の「さ」を抜いて、「さん」を付けた彼独特のあだ名。
「じゃあ、あそこで話さない?」
「もちろん」