セロリとアライグマ
今日は学校の開校記念日。休みである。

だがオレは学校へ来ていた。図書室で勉強していたのだ。


家は母親がお客さんが来ると言ってせっせと大掃除をしているのでなんだかやかましいし、ファミレスに行けばコーヒー代がかかる。

というわけで、バスの定期を使って来れる学校は割といい場所。

しかも休日の図書室なんて誰も人が来ない。


図書委員長はオレの友達なので、図書室のカギはわりと簡単に手に入る。

オレは昨日鍵を借りて今日こうして来ている。

勉強なんて面倒くさかったけれど、先月の中間テストで数学がやばかったので少しぐらいやっておかないとまずいなという危機感で今日勉強しに来た。

だが、最初はやる気満々で勉強していたが、やはり2時間もすると面倒になり、その辺の歴史のマンガ本を引っ張って読んでいた。



そうやっているうちに、時計を見れば4時。最近は日が暮れるのも早く、もう日は暮れかけている。

オレは開いていた数学の参考書をカバンにいれ、ゼミへ行く準備をした。

図書室のカギをこっそり職員室に戻しておいてほしいと図書委員長の友達に言われていたので、オレは階段を上って2階の職員室に向かった。

職員室には教師はほとんどいなかった。いるのはジャージを着たテニス部の顧問と陸上部の顧問くらい。

カギ庫にこっそり図書室のカギを戻して職員室から出た。



すると同時に、隣の指導室からガラガラと扉がしまる音が聞こえたのでオレはそちらを振り向いた。

指導室からはスカートにジージャンを着た私服の女子とその母親と思われる人物が一度礼をしてから出てきた。

オレはその人物を見て驚いた。



「……新伊…」

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