セロリとアライグマ
転校?

高校には来ない?


高校、変えるってことか?

え?え?


頭が真っ白になる。新伊の笑顔もなんだかぼやけてみえてくる。


「…なん…で…?」

「情けない話だけど、がんばれなくなっちゃった。あの日以来、制服にも触れなくなっちゃったんだ。カバンにも。怖くてだめなの。考えただけで手を洗うようになったんだ。別に汚くないことは分かってるけど…でももうだめみたい」

ここでやっと新伊が私服を着ているワケがわかった。

彼女は制服に触れなくなってしまった。『学校のモノ』に触れられない。

「聡美に『精神異常』って言われた時、頭がおかしくなるかと思った。言われたことがショックなのもあるけど、それよりも『どうしてそういう言い方をするんだろう』って。ここにいたらワタシもそんな考えしか出来なくなって、ワタシも心無い言葉で誰かを傷つけちゃうんじゃないかと思うと怖くてたまらなかった」


やっぱり思っていた通りだった。

新伊は、あのクラスの『汚さ』を洗いたかったんだ。



染まりたくなかったんだ、自分は。

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