セロリとアライグマ
12月2日 新伊のいない教室
「えーというわけで、新伊は昨日ご両親の事情で転校しました。本人、みんなによろしくと言っていたからな」
次の日、朝のホームルームで田崎が新伊がこの学校を去ったことをクラスのみんなに告げた。
新伊の座っていた席は、今は誰もいない。
ていうか、新伊がこの学校をやめたのは両親の事情なんかではない。
クラスの言葉の暴力、嫌がらせ、そして新伊が手を洗うことだということは、全員分かっていた。
オレは、悔しかった。
昨日、新伊にバイバイと手を振ったが、あの後ゼミに行っても新伊が悔しそうに泣く姿が脳裏から離れなかった。
自分を諦めたくなかったと言っていた新伊。
決してクラスの女子の文句を言わなかった。
手を洗う自分と戦っていた新伊。
決して物事を人のせいにしたりしなかった。
どうして新伊がこの学校から転校しなければならなかったんだろう。
なんだかイライラする。
誰かを責めたいわけじゃないけれど、もやもやが消えなかった。
「それじゃ今日は各委員会があるから放課後忘れないように。じゃ、起立」
皆立ち上がって一礼すると田崎は教室から出て行った。
田崎が出て行ったとたん皆ざわざわと騒ぎ出した。
「アライグマ、ついに転校したんだー」
「よかったじゃん、いなくなって。なんか私、せいせいしたー」
「ホントだよね。いちいち手洗いに行って目障りだったし」
新伊に一番嫌がらせをしていた今井や伊藤、兼古が窓側の後ろの方に集まり大きな声を上げる。
新伊がいなくなってもまだこいつらは分かっていないようだ、手を洗っていた理由を。
ホント、バカにはつける薬がない。
怒るのを通り越してあきれてしまう。
これは、新伊は転校して正解だったんじゃないかと思う。
オレまでこのクラスにいるのがイヤになってきた。
「新伊さん、なんかかわいそう…」
次の日、朝のホームルームで田崎が新伊がこの学校を去ったことをクラスのみんなに告げた。
新伊の座っていた席は、今は誰もいない。
ていうか、新伊がこの学校をやめたのは両親の事情なんかではない。
クラスの言葉の暴力、嫌がらせ、そして新伊が手を洗うことだということは、全員分かっていた。
オレは、悔しかった。
昨日、新伊にバイバイと手を振ったが、あの後ゼミに行っても新伊が悔しそうに泣く姿が脳裏から離れなかった。
自分を諦めたくなかったと言っていた新伊。
決してクラスの女子の文句を言わなかった。
手を洗う自分と戦っていた新伊。
決して物事を人のせいにしたりしなかった。
どうして新伊がこの学校から転校しなければならなかったんだろう。
なんだかイライラする。
誰かを責めたいわけじゃないけれど、もやもやが消えなかった。
「それじゃ今日は各委員会があるから放課後忘れないように。じゃ、起立」
皆立ち上がって一礼すると田崎は教室から出て行った。
田崎が出て行ったとたん皆ざわざわと騒ぎ出した。
「アライグマ、ついに転校したんだー」
「よかったじゃん、いなくなって。なんか私、せいせいしたー」
「ホントだよね。いちいち手洗いに行って目障りだったし」
新伊に一番嫌がらせをしていた今井や伊藤、兼古が窓側の後ろの方に集まり大きな声を上げる。
新伊がいなくなってもまだこいつらは分かっていないようだ、手を洗っていた理由を。
ホント、バカにはつける薬がない。
怒るのを通り越してあきれてしまう。
これは、新伊は転校して正解だったんじゃないかと思う。
オレまでこのクラスにいるのがイヤになってきた。
「新伊さん、なんかかわいそう…」