セロリとアライグマ
オレはぐっと職員室の入口で唇をかんだ。

腹が立って、イライラして、むかついて、悔しくて、手が震えた。

殴ってやりたい気分だ。



だが、こんなときにまで『内申に響く』とか『大学進学に影響する』とかそんなくだらない事が頭をよぎった。

そんな自分を殴ってやりたかった。



なんて情けないんだ、オレは。

なんて臆病なんだ、オレは。




悔しかった。



どうしようもない苛立ちに、オレは職員室から出て静かにドアを閉め、バンっッとものすごい勢いで職員室の壁に向かって日誌を投げつけた。

そのままにしてそこから立ち去った。




そして体育館に続く廊下にあるトイレの前まで無意識に歩いてきた。


女子トイレのドアの窓からは、もう新伊の姿は見えない。

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