セロリとアライグマ
新伊の小さくて細い手の甲は、がさがさに荒れ、アカギレが沢山あった。

おそらく手の洗いすぎだと思われる。

その時のオレは、なぜ新伊が手を洗うのかなんて考えようともしなかった。

潔癖症ぐらいに思っていた。



今日の6時間目はホームルームだった。

ホームルームはただぼーっと担任の話を聞いていればいいからラクだ。
ノートをとる必要もない。

学校にいて一番ラクできる時間。

2年になり、皆それぞれの進路に合った授業を受けている為、クラスに全員そろうのは朝と帰る時とこのホームルームの時間ぐらいだろう。


オレはとりあえず進学。


といっても別に何か目標があるわけでもない。

何の仕事に就きたいワケでもなく、ただ大体の男は大学に行くからそれに添っているだけである。

この高校は商業高校なので、女子は就職したり専門学校に行ったりするヤツが多い。

とはいっても、就職難のこの世の中、大した職にもつけないだろうというこの現状。
未来は暗くなるばかり。


「じゃ今日はクラス委員を決めるからな。立候補が優先だけど、推薦でもいいぞ」

というわけで、今日は委員を決めるらしい。

高校生にもなって委員とはかなり馬鹿馬鹿しい。

どうしてうちの高校はそんなモン作っているんだろうか。
中学生までで充分だろう。

学級代表みたいなヤツだけいればそれでいいと思う。


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