セロリとアライグマ

「スクールカウンセラーって言っても、なるには臨床心理士の資格が必要だし、一年以上の現場研修も必要なんですって。彼女、必死に勉強してなりたかった職業に就いたそうよ」

「そうなんですか…」


扉の窓の向こうは、笑い声があふれていた。

新伊は11年前オレや自分の家族に見せていた笑顔で生徒たちに笑いかけていた。


すげーな、新伊。


オレが毎日上司にグチグチ色々言われながら嫌々仕事行っている中、お前、こんな事してたんだ。

きっともう手も洗ってないんだろうな。



新伊は、自分が汚くならないよう手を洗っていた。

今は、生徒が自分のように悩んで苦しむ前に話を聞き、生徒と真剣に向き合う職についている。



オレは思わずにやにやしてしまった。


うれしくてにやにやしてしまった。