セロリとアライグマ
「―新伊、すげぇな…」

オレは思わずボソッと口に出してしまった。

新伊はオレの想像以上だった。


ホント、すごい、アイツ。

なんだかうれしくなった。



今まで晴れなかったオレの中の何かが開けたような、そんな気がした。

新伊がいなくなった後に後悔していたあの気持ちが、今一気に消え去った。



オレはどうやら11年の間、それをずっと引きずっていたようだ。

  

「あら、山崎さん、新伊さんとお知り合い?」

「いや…あ、オレ、そろそろ行きますね。また何かありましたら呼んでください」

オレはもう一度笑っている新伊を確認した後、走ってその場から立ち去った。

そしてコンピューター室に向かい、ダンボールやビニールなどの荷物をまとめ、会社に戻る準備をした。


新伊の姿をもう一度見ようかな、そう思ったけどやめた。



あのときの気持ちが晴れただけでもうそれでいい。


新伊は自分で道を決め、実現させ、自分の道を歩いている。



もうそれだけでいいやと思った。




「あ…」

オレは、ダンボールを車に積んでいた手を止めた。

ふと、ある事に気がついた。

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