セロリとアライグマ
「えーめんどくさい」

「うざいよねぇ、委員って」

女子は皆口を開く。担任の田崎は困った顔。

「おいおい、みんな出来れば立候補しろよ」

「だーってセンセ、もー2年だもん。みんな忙しいって」

女子のリーダー格、今井が手鏡を見て自分の髪をとかしながら言う。

田崎は歴史を教える33歳独身男。というわけで女子には割と人気がある。

顔は普通なのに、この女子の多い世界では「年上の男」というだけでモテるようだ。

オレは、善人ぶってる感じが嫌いだけど。


「そういうなよ。体育委員も美化も保健も、委員会の開催なんてそんなにないし。ラクじゃないか」

「でもぉーめんどくさい。うざい」

「ていうか、委員って制度、やめたらいいじゃん。今時そんな高校ないよね」

女子は1人が口を開けば皆ピーチクパーチク。

親鳥がエサを持ってきた時の雛鳥のようにパクパク口を開き、がやがや騒ぐ。

窓際の後ろから2番目に座るオレは、そんないつもの光景を冷めた目で見ていた。


高校生にもなれば彼女でも出来ると思っていたが、この中から見つけるのは困難な事だと思う。




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