セロリとアライグマ
「おお、いいぞ。誰を推薦するんだ?」

オレは横目でちらっと隣の席に座っている新伊を見た。

新伊は一言も口を開かず、ずっとうつむいている。
いつもの光景だ。

田崎は黒板に推薦されたヤツを書こうとチョークを手にした。


「ワタシ、アライグマを美化委員に推薦したいんですケド」


オレはその言葉を聞き、バッと廊下側の一番前に座る今井を見た。
今井の周りの女子はアハハハと笑う。


委員押し付けるイヤガラセか…。


「アライグマ…美化委員?」

田崎は首をかしげた。

「新伊さんのことですよ、アライグマって。あだ名なんだよ、センセ。だって、あんなに手ばっか洗ってキレイ好きだもん。美化委員にぴったりでしょ?」

「加奈子、いいこと言うじゃん」

「そうだよねー。アライグマが適任じゃない?」

女子は皆いっせいに口を開いた。オレは顔をしかめた。


集団って怖い。

男のオレでさえそう思う。

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