セロリとアライグマ
オレは驚いた。

新伊の声を久しぶりに聞いた気がする。



別に、新伊が謝る必要なんて一つもなかった。

だが、彼女はオレに『ごめんね』という。

無責任な連中の中、たった一人だけ謝ってきた新伊。



オレはその言葉で、なんだか自分が恥ずかしくなった。

回りに流されて、敬遠しながら新伊を横目でチラチラ見ていたオレが恥ずかしくなった。


きっとそれは、アライグマのように手を洗う新伊を思い出したからだ。

苦しそうに手を洗う新伊。





彼女は、一体どんな泥を洗い流していたんだろうか。

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