セロリとアライグマ
今日は朝から雨が降っていたので地下鉄とバスを利用して学校へ来た。

バスの中は人だらけで、いつも自転車通学でたまにしかバスに乗らないオレは人や車に酔いそうになった。

地下鉄の駅前では、ティッシュやらなにやら色々配っていて、それに慣れないオレは何でもかんでも受け取ってしまっていた。

バスの中でポケットの中身を見てみると、ティッシュ二つにチラシ、試供品のハンドクリームまで受け取っていた。



朝から疲れきって学校に着き、教室に入ると佐野がもう来ていてオレに「オッス」と声を掛ける。

佐野はジャージ姿。
おそらく野球部の朝練だったのだろう。

佐野はオレの隣の席に座った。

新伊の席だが、新伊はまだ来ていない。


「よっ。部活?」

オレは少し濡れた学ランを脱ぎ、椅子にかけた。

「おお。明日から地区予選なんだ。ま、一回戦負け確実だけど」

「まーしゃーねーよな、あの人数だったら。部員全員スタメンなわけ?」

「一応補欠2人いるぜ。1年だけどな」

「へー」

クラスの半数は高体連で学校を休んでいる。帰宅部のオレは通常通り授業を受けているが。

「お前、夏休みとかは予備校とかいくわけ?」

オレはカバンから先ほどコンビニで買ったソーセージパンを取り出し、バクバク食べ始めた。
ギリギリまで寝ていたので朝ご飯を食べる暇が無かった。

「どーすっかなー。進路、専門学校に行くか大学進学にするか悩み中だからとりあえず念のためS予備校に行こうかなとか思ってるケド。セロリは?」

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