セロリとアライグマ
「そーだな…姉貴が高校の時行ってたゼミにすっかな~と思ってるケド。どっちにしろ面倒くせぇ」

佐野はうんうんうなずいた。

一応進学希望ではあるが、大学へ行ってやりたいことがあるとかじゃないから、とりあえず受かればいい。

だが、どうせ不景気だとかいって就職難なんだから、そんな未来にどうやって今という時間を費やせばいいんだろう。

どうせ大学へいったって苦労するに違いない。

そんな未来が確定されている今、大した勉強をがんばる気にもなれない。



「もーすぐ学祭だなー」

佐野はオレのパンをすこしむしって食べながらぼそっとつぶやく。
学校祭は二週間後。

とはいっても、どうせ適当に模擬店かなにかやる程度だからまだ準備はしていない。


「っつっても、うちの高校の学祭、女ばっかうじゃうじゃいて大した面白くねーしな」

オレはパンの袋を小さく丸めて教室の隅のゴミ箱にポーンと投げた。

大きくはずれたが、拾いに行くのも面倒だったのでほっとく。

「佐野は彼女でも連れてくんの?S高から」

佐野には中学からずっと付き合っている彼女がいる。

一度一緒にカラオケに行った事があるが、なかなかかわいかった。

佐野にはもったいない。


「どーすっかなー。うちの学校、女ばっかりだからアイツ、妬くんだよ。セロリは?」

「オレ、彼女いないし。ダチも結構その日学祭かぶってるから来れないし」

佐野に彼女がいてオレにいない、結構世の中意味不明。理不尽。

誰が見てもオレの方がかっこいいと思う。自画自賛。

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