セロリとアライグマ
すげぇ、この二人。

こんな酷いことしておいて、速攻カラオケの話をしている。

こいつらにとって、こんな事は大したことではないらしい。大した事じゃない思えることがすごい。

ある意味尊敬する。


「あ、なんだったらセロリもカラオケ一緒に行く?私、セロリと行った事ないんだよね。前佐野っちとは行ったけど」

「そういえばそうだよね~。行かない?山崎まさよし歌ってよ」

オレは、なんだかこいつらが怖くなった。

こんな奴らと一緒にいたらおかしくなりそうだ。


「…いや、オレ、これからバイトだから」

「へーそーなんだ。じゃまた今度一緒にいこうよ。じゃーねー」

二人はオレに手を振り、自分のカバンを持って笑いながら教室を出て行った。



しばらくオレはその場に固まっていた。

回りの奴らは部活やら塾やらでさっさと帰り、教室にはオレだけ。

オレは横目で琥珀色に染まってしまった新伊のカバンを見る。


このカバンを見て、新伊は一体どうするだろう。

泣くか?

いや、アイツは泣かないだろう。なんとなく。

ただひたすら洗うんだろうか。



その時だった。

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