セロリとアライグマ
今年の夏は異様に暑い。湿気があるせいだろうか。気温は毎日30度以上。

この土地でこんな気温が続くのはとても珍しい事らしい。


現在夏休み。

オレは休みに入ってから誰とも会っていない気がする。
まぁみんなゼミだのなんだのと予定がある。

今から通っておかないと間に合わないらしい。


佐野は、福祉系の専門学校を目指すようだ。
それを聞いたときは「お前が福祉?!」とゲラゲラ笑ってしまった。

似合わなすぎる。

アイツが年寄り相手ににこにこしている姿は想像できない。

なんでも、佐野が現在付き合っている彼女がそちらの道に進むらしい。
「ああなるほど」と納得してしまった。

それでも、将来何になるかを具体的に考えているという事になるのだから、その事にオレは少しあせりを感じた。

だが、現時点で何になりたいとか言えるヤツの方が少ないんじゃないだろうか。



オレは一体何になりたいんだろう。


漠然とした問いかけ。
でもいつかは選択する日が来るのだろう。


今までだって適当に流されて生きてきたんだから、これからもきっと同じだ。

流れに沿うしかない。



とりあえず今のオレは来年に向けてゼミに通う。

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