セロリとアライグマ
「おーい、セロリ、お前、課題やってきた?」

オレが黙々と朝コンビニで買ってきた週間少年ジャンプを呼んでいると、後ろからトントンと誰かが肩をたたいてきた。

「ってお前、マンガ読んでんの?後で見せてくんない?」

「お前さぁ…たまには買えば?購読料とるぞ」

オレはぺちっと坊主頭の佐野をデコピンした。

佐野は野球部で一応スタメンである。

とはいっても、うちの学校は男子と女子の比率が2対8くらいの商業高。圧倒的に女子の方が多いのだ。

野球部は一応あるが同好会のようなもんである。
甲子園にも程遠い。


佐野はオレと同じ学科。

うちの高校は学科ごとにクラス分けされているので3年間同じクラスとなる。

クラスの中では一番仲が良く、教室移動や弁当食べるときなど大体行動を共にしていた。

「っていうかさぁ、その『セロリ』って呼ぶの、やめてくんない?オレ、セロリ嫌いなんだよ。マズいし」

オレはマンガを読みながら、じろりと佐野をにらんだ。

「別に野菜のセロリからあだ名ついてるわけじゃないからいいじゃん。っていうか誰がつけたんだったっけ、この名前。オレ、言われるまで全然気づかなかったもんな~」
「…」

佐野が笑いながらオレの肩を叩く。オレははぁとため息をつき、またマンガを読み始めた。


オレの名前は『山崎 雅由(まさよし)』。

で、なぜこんな氏名であだ名がセロリかというと、くだらない理由が一応ある。


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