セロリとアライグマ
「あのさ、手を何回も洗うのって、ただの潔癖症?」

「え?何、突然」

「いや、クラスにそういうヤツいてさ。クラスのヤツに『手洗ってばっかでキモイ』って嫌われてるけど。それってただの潔癖症かなーと思って」

「……」

姉は少し顔をしかめ、無言になった。先ほどの覇気は無い。

オレは変な事を聞いたかなと思い首をかしげた。


「…その子、女の子?」

「そ。新伊久麻って名前で、あだ名が『アライグマ』」

「サイアク。ネーミングセンスないわよ」

オレは姉ににらまれるが、別にオレがつけたあだ名ではない。睨まれても困る。

「んなこと言ったらオレなんて学校で『セロリ』なんていわれてるんだぞ」

「はぁ?セロリぃ?!あ!わかった!!山崎まさよしだ!!そっちの方がセンスいいじゃない」

ゲラゲラ笑う姉をオレはぎろっと睨む。

だが実羽は腹を抱えて笑っている。

なにがそんなにおかしいというのだ。全く。


「ま、まぁあんたのあだ名はいいとして…その新伊さんて子、病院に通ってるの?」

「は?何の病院?」

「心療内科、もしくは精神科とか神経科」



え?

なんだ、それ?


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