セロリとアライグマ
クラスのヤツは、新伊のこの病気のことを知ればイジメみたいなことをやめるんだろうか。


いや、やめないな、多分。

皆『みんなとは違うヤツ』を嫌うからきっとやめない。



新伊をシカトしてなければ、次は自分がやられるかもしれない不安があるだろう。

女子ってそういうもんだ。

群れってそういうもんなのかな。




午後9時くらいになっただろうか。大分店に来る客が減って来た。

店内はオレともう一人のバイトの大学生と本を立ち読みしているサラリーマンらしき客だけになった。


静かな店内。

とは逆に、外から突然大きな話し声が聞こえてきた。それと同時に自動ドアが開く。


「いらっしゃいませー」

オレはレジの前でしゃがんで煙草の在庫を確認しながら声を発する。
客の顔は見えない。

「ちょっとー浩樹、アンタが牛乳買わないで帰ってきたから悪いんだからねっ」

「うっせーよ!ヒサ姉が買えばよかったじゃん」

「朝頼んでおいたでしょ?ちゃんと覚えておいてよね」

どうやら姉弟らしい。店内で大声で喋っている。




あれ?


姉と思われる女の声、聞いた事あるような気がする。

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