セロリとアライグマ
4月の新学期が始まって何日か経ったある日のこと。

オレはいつも学校へ来るとき、自転車こぎながらウォークマンを聞いてくる。

で、教室に入ってヘッドホンを取り机に置いたら、クラスの女子がオレの机から勝手にヘッドホンをぶんどり、ウォークマンでそのとき聴いていた曲を聴き始めた。

女子というのは、集団になるとなぜあんなにもずうずうしいのだろうか。

将来、シルバーシートとか平気で座るオバサンになるヤツはこういう女だろうなと思う。


その女子のグループは、オレのウォークマンを聞いて笑い出した。

そのとき、ちょうど「山崎まさよし」の歌がウォークマンでかかっていた。

聞いていたテープには他にもイエモンとかミスチルとかも入っている。
昨日CDレンタルし、ダビングして作ったテープを聴きながら学校へ来た。


『山崎くんって、山崎まさよし好きなの?これ、<セロリ>って曲だよね、確か』

『あ、そういえば…山崎くんって、「山崎まさよし」と同じ名前じゃん!!今まで気がつかなかったぁ~!』

『ほんとだー。同姓同名ってやつ?』

『あ、じゃあ今度から山崎くんのこと「セロリ」って呼ばない?』

『あはははは、いいじゃん、それ!!』



とまぁこんな会話だった気がする。

オレはこの勢いにあっけにとられ、ぽかんと口を開けていた。
朝っぱらからなんだこのテンションはと思った。


ていうか、なぜゆえオレが『セロリ』?!

意味わかんねぇ。


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