セロリとアライグマ
仕方ない。このまま新伊だけに任せておくのもなんだか気が引ける。

オレは割と小心者なのか、それとも優しいのか。



「……それ、色塗るだけだろ?」

「?う、うん、そうだけど」

「オレもやる」

「え?」

 新伊は驚き、目を大きくしていた。

「オレもやる。一応美化委員だから」

「だけど…」

「今日ゼミもないから。美化委員なんてどーせ今月で終わりだからこれで最後だろ?仕事」

オレは心の中で「あーあ、何で善人ぶってるんだか」と思っていた。

まぁ家に帰ってもゲームやるだけだから別にいいけれど。


「ありがとう、山崎くん。それじゃうちでやってもいい?家、すぐ側だから」

「え、お前ん家?!」

「うん。イヤだったら違うところにする?」

イヤとかそういうんじゃなくて。

女子の家とかあんまり入った事無いのでちょっとイヤだった。

家族とかいたら気まずいし。
別に新伊の友達でもないし彼氏でもないのに。

かといって、どっかファミレスとか行ってやってクラスのヤツにみられたりするのもイヤだ。

そういうときに限って案外見られたりするもんだ。

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